VERVEでは多様なバックグラウンドを持ったスタッフが多く活躍しています。今回は、日本のロースタリー部門の責任者として、VERVE全店舗のプロダクションコントロールを担っているKazさんにお話を伺いました。日々真摯にコーヒーと向き合い続けるKazさんの思いをお届けします。
PROFILE
日系ブラジル人の母と日本人の父の間に生まれ、日本で育つ。自身のルーツがあるブラジルへ渡航した際にコーヒーの魅力に気づき、帰国後はブラジルのコーヒーを扱うカフェレストランに入社。その1年後、さらに深くコーヒーを探求するため、株式会社ミカフェートのロースタリー部門に入社。世界中のコーヒー農園を巡り、高品質なコーヒー豆の品質確認や買い付けにも携わる。2021年VERVEに入社。現在は日本のロースタリー部門の責任者として、プロダクションコントロールを担っている。
Q. まずは簡単な自己紹介と入社前のご経験・経歴について聞かせてください。
Kazです。生まれは日本で学生時代まで埼玉県で育ちましたが、母が日系ブラジル人で、幼い頃に母に連れられてブラジルに何度か行ってます。社会人になってから最初の数年はスポーツジムでフィットネスインストラクターとして働いていました。
そのうち、仕事やこの先の人生を考えるようになった時に、もう少し自分自身のことについて深めて知りたいなという思いが湧きたち、親戚の多くいるブラジルに単身行くことになりました。半年程そこで現地のレストランやカフェに沢山訪れるうちに、コーヒーに触れる機会が増え、帰国後自分自身コーヒーに携わる仕事をしたいという思うようになったんです。それがコーヒーのキャリアをスタートさせたきっかけでした。
-ブラジルでのコーヒー文化についてもう少し聞かせて頂けますか?
ブラジルではコーヒーが身近なものとして親しまれていました。毎日のように滞在先の近所のカフェやレストランに通う中で、顔を覚えてもらって会話をするうちに、人との繋がりができ、そういう触れあいがすごく心地よかった。そんな時間を過ごす中で、コーヒーが人と触れ合うツールになっていることを目の当たりにして、コーヒーについての知識や技術を得ることがしたいなと思うようになりました。一番は人との触れあいがきっかけで、その先にコーヒーがあった感じでしょうか。
-素敵ですね。帰国後、コーヒー業界で働き始めたご経験についても聞かせて頂けますでしょうか。
ブラジルから帰国後、コーヒーを学びたい思いでコーヒーを専門に扱う都内のレストランで働き始めました。それから一年後の2011年、さらに深くコーヒーを探求するため、世界中から選び抜かれたコーヒー豆の輸入販売、カフェ事業を展開する会社のロースタリー部門に入社することになりました。当時は10人規模の小さな会社だったのですが、世界中のコーヒー農園と密に連携し、畑の管理から一杯のコーヒーになるまでのすべての工程を共に行い、高品質なコーヒーを追求している、豆のクオリティにとことんこだわった会社でした。コーヒーを学ぶならここだと思って門をたたきました。
その会社には10年間在籍していましたが、最初はアルバイトから焙煎のサポート業務をスタートし、その後焙煎をメインに従事するようになりました。徐々に規模も大きくなって、10年の間に60名規模までスタッフが増えて、最終的にロースタリーチームの統括マネージャーとして30名程のチームをリードしていました。又、ロースタリーチームのマネジメントに加えて、ハワイやタイ、パナマ、グアテマラ、エルサルバドルなど世界中のコーヒー農園を訪れ、生豆の買い付けを行い、豆の品質チェックや何をどのくらい買うのかなど、買い付け業務にも携わるようになりました。
そこで感じたのは“生産者のみなさんの努力”でした。私たちが伺うコーヒー農園は土壌や気候など、コーヒーを作る上で必要な要素を満たしたすばらしい環境でしたが、その恵まれた環境に甘んじることなく、みなさんが高い意識を持ち、一粒単位でクオリティーを管理していました。私たちはそのクオリティーに見合った価格で生豆を買い取らせてもらい、日本のお客様に1杯のコーヒーとしてご提供するわけですが、そのすべてのオペレーションのなかで、コーヒー生産者さんたちの努力を裏切るようなことをしてはいけない。いつも正直でなければいけないと、強く感じました。今もその思いは大切にしています。
Q. その後VERVEへ移られたそうですが、10年間勤められた会社を離れるのは大きな変化ではなかったでしょうか。なぜVERVEを選んだのでしょうか。
当時、年齢的なタイミングも考えて新たなチャレンジがしたいなと思った時に、VERVEの掲げる「FARMLEVEL TO STREETLEVEL=コーヒー農園と街の架け橋として」という理念が、自身の学んできたコーヒーの基礎知識や大切にしているものと通ずるものがあったことが大きかったと思います。
入社前からVERVEのことは知っていて、新宿店に行ったこともありました。その時は活気があって、内装・インテリアからもカルチャーを感じる特筆すべきコーヒー屋さんという印象でした。一方で、前職での経験を踏まえると、正直なところコーヒーの品質への期待値はそんなになかったんです。ですが、入社を検討する際に情報を集める中で、VERVEが掲げる「FARMLEVEL」の取り組みを知り、改めてお店にコーヒーを飲みに行ってみたところ、シングルオリジンのクオリティの高さを理解しました。
入社後もロースタリー業務で生豆を焙煎してみたところ、焙煎した豆の色合い・粒の大きさが揃っていましたし、豆が適切に管理されスクリーニングされていることが実際に見て取れて、豆のクオリティが高いことが分かりました。焙煎後の豆の中から欠点豆といわれる豆もすごく少なかったんですね。当然スペシャリティのグレードの豆なので、本来取り除くべきダメな豆もすごく少ない。焙煎をした時の色の付き方も揃っていてとても綺麗で、USから仕入れている豆と同じスペシャリティの86点以上のクオリティの豆をそのまま日本でもリリースしていることが理解できました。
コーヒー豆の栽培から焙煎方法、抽出、コーヒーを飲む空間作りまで、細部に渡って強いこだわりを持つVERVEは、自分自身が大事にしてきた思い、これからもしていきたい思いが継続できる会社ではないかと思い選んだ場所でした。
Q. そこからもうすぐ3年だそうですが、どのような3年間でしたでしょうか。
かなりスピード感のある3年でした(笑)
例えば焙煎量も、入社当初は200キロを焙煎すれば十分な供給量でしたが、徐々に1.5倍、今は2倍近くの量を日々焙煎、パッキングしています。店舗数も、当時は新宿・六本木・雪ノ下・北鎌倉店の4店舗でしたが、その後YGP・代々木・恵比寿店が加わって7店舗まで増え、当然スタッフも増えました。
当時ロースタリーチームもあったのですが、専任というよりはカフェメンバーが兼務で入れ替わりながらパッキングしてもらう状況でした。ご存じのように、コーヒーはフルーツのようなもので、香りが一番の売りものです。そして、その香りがそのまま豆の品質となるため、品質そのものを正しくロースティングしてお客様に届けることが大切かなと思っています。カフェメンバーが兼務していた当時は、カフェ業務もある中でロースタリーに意識を集中し、作業してもらうことがなかなか難しい状況でした。そこでよりクオリティを担保するために、代表と相談しながら少しずつ専任のロースタリーチームを作り上げてきました。
入社当初は前職での知識や経験をそのまま活かせる部分があるのではと思っていたのですが、カフェの展開や社内の豆のリリースするスピード感など、会社が異なると、経営のアプローチやリーダーの意思決定も当然異なりますよね。効率性と品質を両立させるためにVERVEではどういうオペレーションが最適なのかも考えながら一つ一つルールを作ってきました。
Q. VERVEとともに歩まれたロースタリーチームの成長についてもう少し聞かせてください。
スペシャルティコーヒーの世界的なスコアリングが80点である中、VERVEではSCAのスコア基準で86点以上のコーヒー豆をメインで取り扱っています。そのクオリティを維持するために徐々にメンバーを固定し、現場でのコーヒーを扱う時の注意点、作業ルールなどを少しずつ加えてきました。
又、アメリカ本国と連携して焙煎レシピを作っています。最終的なVERVE JAPANの味は私たちで決定していますが、「Clean,Sweet,Vibrant(きれいで甘い、そして鮮やか)」にというUSのレシピ開発のコンセプトやプロセスを理解した上で、共通するコンセプトは保ちながらも日本独自の味に整えています。もちろんアメリカのチームが買い付けた時点でクオリティーは担保されていますが、日本にいる私たちの手元に届くまで時間が経過しているため、再度チェックすることは重要な工程のひとつです。その後、生豆を何パターンかに焼き分けて、Clean,Sweet,Vibrantのコンセプトを体現する味を作っていきます。
今年の春には本国のコーヒー責任者が来日し、私たちのリリースしている商品すべての味の確認・擦り合わせを行いました。その時の彼らの評価としても、日本はUSのコンセプトを踏襲した味づくりができていると評価を受けています。
まだまだ改善すべき点は多いにあり、やるべきことも沢山あるのですが、この3年の中で徐々に環境は変えられてきたのかなと。前職からコーヒー豆の品質にこだわってきた自分だからこそできることを、VERVEにおいても実行していきたい、というのが当初からの意気込みです。コーヒー豆のクオリティはVERVEが最も大事にしているものの一つなので、会社の成長に貢献できていれば良いなと思います。
Q. コーヒー業界で長年経験を積まれてきたKazさんから見たVERVEの組織としての強みと魅力について聞かせてください。
会社がどんどん成長し、状況が変わっていく中で、求められる役割・責任の範囲が少しずつ広がってきています。ロースタリーでいうと、元々チームがないところから立ち上げて、そこに手を挙げて来てくれる熱量の高いメンバーが沢山いることがVERVEの強みの一つではないかと思います。それはカフェチームも同じで、当時からオペレーションの仕方もチームでブラッシュアップし改善を繰り返しています。そういったトライしていこうというマインドを持ったメンバーが沢山いるというのはうちのカルチャーなのかなと。
そして、一方では、同時にそれぞれが個々の夢だったり目標を持っているのも、またVERVEのカルチャーだと思います。例えば、うちってユニフォームがなくて、皆好きな恰好しているのですが、そうして思い思いの自分を表現しつつ、業務では協力し合って毎年売上を更新していってます。一見多様性に富んだメンバーが集まっているのだけど、絆はあるし、皆一つ同じ方向を向いていると感じます。
-皆個性を持ち、多様でありながら、チームとしては調和しているんですね。そのバランスはどう取っているのでしょうか?
会社がすごくオープンなところが大きく影響していると思います。情報も沢山開示されていますし、なるべく皆の意見を吸い上げようとする社風があります。アルバイトの人たちとは昇級がある度にご飯を一緒に食べに行く機会も頻繁にあります。
例えば何か新しいチャレンジしていく時も「来週からこう変えたい」と提案した時に、情報がクローズだと「何で?」のところからスタートしなきゃいけないじゃないですか。でもうちはこんなオープンな環境だから皆ある程度準備や心構えを作りやすい。だからスピード感のある環境でも変化に対応していくことができているんだと思います。
Q. まだまだ組織は成長中とのことですが、今後どのような方に来ていただきたいでしょうか。
そうですね、新しいことにどんどんチャレンジできる環境なので、挑戦するマインドを持った方でしょうか。
私自身3年間の中で任せてもらえる業務やチャンスが多いなと実感しております。例えば、焙煎だけを中心に行っていられる状況ではないので、コーヒー豆の品質管理から、豆の情報の共有やカフェとの連携、カフェメンバーとしてオペレーションに入ることもやっているので、トライできる業務は山ほどあります(笑)。
今はチームで焙煎できる人を増やそうとしているフェーズですが、ロースタリーチームやVERVEの成長をけん引していく立場として、チームのマネジメントや管理業務、経営陣と計画的に物事を進めていくこと、他にも自分がリーダーシップ取っていく局面が多くあるため、マネージャーとして成長できるチャンスも多い環境だと思います。
リテールチームとのコミュニケーションも重要です。ロースタリーからリテールチームに新しいコーヒー豆のリリース情報を共有する際に、その質、ボリューム、タイミングなどをしっかりとターゲットを定めた上で伝えていくことが求められます。
VERVEは、やる気のある人や熱量の高い人には、社歴だったり経験抜きに「任せられるんだったらやらせよう!」というカルチャーがあるので、会社が成長している中で新しいことにチャレンジしたい方に来て頂きたいですし、そういう方が必要だと思っています。
今の現状に甘んじることなく、少しでも変えようと、ステップアップを常にしていこうというマインドの人がきてくれると嬉しいですし、今のVERVEにもそういったメンバーがすでに沢山います。
Q. 最後に応募を検討している方へメッセージを一言お願い致します。
先ほどと重複しますが、フレキシブルにフェーズが変わっていく中で、様々な事にチャレンジするマインドを持った方に是非来ていただきたいです。又、常々Yoichiroさんが言ってる「楽しむ」こと。困難を大変と思わず、できるようにするにはどうすれば良いのか、「チャレンジすることを楽しむ」マインドを大切にしてほしいですね。それは自分自身も一番必要だと感じています。
VERVEは、世界でもトップレベルの豆をダイレクトに買い付けています。そのクオリティを落とさずに美味しいコーヒーをお客様に届けることをチーム一同目指していますので、興味を持たれましたら是非一度お話を聞きにきてくださいね。
質問は以上です。ありがとうございました!