プロが教えるカッピング|コーヒーの品質を評価する方法

プロが教えるカッピング|コーヒーの品質を評価する方法

【カッピングの目的】コーヒーの品質を知る

スペシャルティコーヒーが広く親しまれる中で、現在では数多くのコーヒーが楽しめるようになりました。特にシングルオリジンは単一農家で収穫された豆だけを使用しているため、豆の種類によって全く違う味わいを楽しむことができます。


VERVEのシングルオリジンコーヒーはこちらから

SINGLE ORIGIN

 

しかし、中には

「コーヒーは種類が多すぎてあまり違いが理解できない」
「自分好みのコーヒーを見つけたいけれどどうすればよいか分からない」

などと悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

VERVE COFFEEでは、お客様にその個性豊かなコーヒーの味わいを的確に伝えるために、よくフレーバーに例えて説明します。このコーヒーのフレーバーを決める際に用いられる方法が「カッピング」です。

本記事では、JHDC2018チャンピオンの深浦バリスタ監修のもと、初心者の方でも分かりやすいカッピングの方法や重要性について説明していきます。カッピングを通して、コーヒーに対する漠然としたイメージからフレーバーを捉え、それぞれの味わいによって変化するコーヒーの印象を楽しんでいただけたら嬉しいです。

 <参考記事>JHDCチャンピオン深浦哲也~What’s your VERVE?#4~

 

 

 

【カッピングの目的】コーヒーの品質を知る

カッピングの大きな目的は、「コーヒーの品質を知る」ことです。コーヒーの香りや味を評価する為に行います。コーヒーを淹れる際に、その素材について理解していないければ、美味しいコーヒーを淹れることは出来ません。そのため、カッピングはコーヒーの品質の良し悪しを理解する為には欠かせません。

これはコーヒーに限らず、料理でも同じことがいえます。

例えば、あるトマトを1口かじってみて、それがどのくらいの酸味、甘みがあり、どの程度熟しているか等を知ることで、そのトマトに対する料理のアプローチが決まります。完全に熟していればスープにできますし、皮が薄く味わいが濃ければサラダと相性がいいでしょう。
コーヒーも同じで、その素材のポテンシャルを知ることで、ベストな焙煎や抽出に繋げるといった目的があります。

 

 

 

 

コーヒーのカッピングを行うタイミングは大きく2つ

カッピングを行うタイミングは大きく2回あります。
1回目はコーヒーの焙煎を行う前後であり、2回目はコーヒーの抽出を行う前後です。

焙煎・抽出前にカッピングを行い、コーヒーのフレーバーを確認しどのような方向性にするかを決定します。焙煎・抽出後は、初めに決めた方向性に沿った味になっているか、お客様に提供できる味かどうかを確認する為に行います。

 

 

 

 

コーヒーをカッピングする重要性とは?ハンドドリップとの違い

コーヒーをカッピングする重要性とは?ハンドドリップとの違い

カッピングはコーヒーの品質を知るものであるとお伝えしてきました。カッピングで検証したコーヒー豆はその素材の良い面、悪い面全ての要素が出てくるため、そのコーヒー豆の全体像を知ることができます。
ハンドドリップは、淹れるバリスタの技術に大きく作用され、均一な味が出しにくいことが特徴です。抽出技術の高いバリスタが淹れれば、そのコーヒー豆の良い面しか引き出さないこともできますし、その逆も起こりえます。
技術に左右されてしまうと、コーヒーが本来持つクリーンな全体像が分かりにくく、カッピングの「コーヒー豆それ自体を知る」という目的から離れてしまいます。

一方でカッピングは、毎回同じ粉量に同じ時間、同じ湯量で特に技術を必要としない方法でコーヒー豆を検証します。そのため、コーヒー豆が本来持つ品質を知ることができます。

カッピングでコーヒーの全体像を知り、ハンドドリップの際にその個性にあった抽出をする流れが、コーヒー豆のポテンシャルを最大限に引き出します。
例えば、オレンジやレモンのような明るいフレーバーを持つコーヒーを、アーモンドやチョコレートのような香ばしい暗い印象にしようとしても限界があります。事前にカッピングを行い、そのコーヒーが明るい印象を持つフレーバーだと分かっていれば、その個性を活かした抽出ができます。しかしカッピングを行っていないと、自分の理想とそのコーヒー豆があわないことに気づけず、正解が見えないままフレーバー探しの旅を続けることになります。

コーヒーの方向性を決める際に、カッピングはとても重要な指標となるのです。

 

 

 

 

カッピングに必要なもの

コーヒーをカッピングする際に準備すべきものは大きく7つです。

 

カッピングに必要なもの

・カッピングボウル

・コーヒー豆

・カッピングスプーン

・お湯

・水を張ったグラス

・ペーパー

・スケール

 

①カッピングボウル

カッピングボウルで重要なのは、全て同じ大きさ、そして耐熱であることです。
カッピングではコーヒー豆の成分が液体に溶け出す割合をあげるために100℃のお湯を使用し、また温度による味の変化を確認するため必ず耐熱カップを使用してください。

②コーヒー豆

一般的に、カッピングの際には複数のコーヒー豆を用意すると思われがちですが、実は1種類のみでも可能です。ひとつのコーヒー豆に対して、粗めに挽いた粉と細かく挽いた粉の比較や、100℃のお湯と70℃のお湯の比較など様々なアプローチで検証する場合もあります。

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③カッピングスプーン

通常食事などで使用するスプーンとは異なり、柄の部分にはカーブがついており、つぼは丸く深めに作られています。カッピングは「飲む」という動作より、「すする」ことが重要なので、抽出したコーヒーをすくい強くすするまでの流れを計算された造りとなっています。
ご自宅で挑戦される場合や初心者の方でしたら、スープ用の大きめのスプーンでも代用可能です。

④お湯

通常カッピングでは、100℃のお湯を使用します。コーヒーの抽出では、温度の高いお湯を使用するとその分コーヒーのフレーバーも液体に移りやすい性質があるため、収率をあげるためにも熱めのお湯を用意します。

⑤水を張ったグラス

各コーヒーが混ざらないようにする為に、カッピングスプーンは使用するごとに水で洗います。

⑥ペーパー

水で洗い流したカッピングスプーンをそのまま使用すると、液体濃度が徐々に薄くなってしまいます。ペーパーを使用することで余分な水分を落とし、正確に品質をチェックします。

 

⑦スケール

カッピングでは基本的に、コーヒー豆とお湯の割合を1:18に設定しています。適切な分量で検証するためにも、スケールは必須です。VERVEではタイマー付きのacaiaのスケールを使用していますが、ご自宅にあるキッチン用のスケールで代用できます。

 

 

 

 

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

必要な道具が準備できたら、いよいよコーヒーをカッピングしてみましょう。
カッピングではドライ、クラスト、ブレイク、でコーヒーの香りをチェックし、その後のテイスティングで抽出された液体を温度変化で評価します。

 

①ドライ

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

カッピングボウルにコーヒー豆10gを粗く挽きます。
この時、”粗めに挽く”ことがポイントです。挽き目の細かいコーヒー豆を使用してしまうと、収率をあげるために沸騰させたお湯と合わさることで過抽出となり、豆のネガティブな要素が出てきやすく全体像が見えにくくなってしまいます。

この段階で乾いた粉の香りをチェックします。これが「ドライ」です。
後の2段階の香りと比較するためにも、この時感じた香りを表現しメモしておきます。難しい表現でなくとも、暗い印象、明るい印象、深みのある香りなどシンプルな表現でいいので、自分なりに表現することが重要です。

 

②クラスト

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

次に、カッピングボウルに100℃に沸騰させたお湯を180ml注いでいきます。
この時、お湯の注ぎのスピードや湯量でも若干の変化が出てしまうため、どのカッピングボウルにも均一に注ぐように意識してみてください。

粉とお湯が触れ合っているこのタイミングで、香りをチェックします。これが「クラスト」です。目安としては、お湯を淹れてから1分後に行うのがベストです。

 

③ブレイク

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

お湯を注いでから4分待つと、コーヒーの粉が完全に上に浮かび上がってきます。

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

カッピングスプーンでその浮かび上がった粉を下に沈めるように、縦に大きく3回撹拌します。撹拌を行うことで、コーヒーの粉で封がされていた状態の液体から一気に香りが解放されます。

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

この状態で香りをチェックするのが「ブレイク」です。

 

④テイスティング

3段階の香りの評価を終えたら、次にテイスティングに移ります。ここでは、抽出した液体を実際に口に含ませ、フレーバーや質感を評価します。

まずはスキミングといい、綺麗なサンプルをテイスティングする為にカッピングスプーンを2本使用して、上澄みの泡の層を取り除きます。

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

おすすめのスキミング方法は、容器の上部に2本のカッピングスプーンを少し重ねながらすくうことです。スプーンを容器の側面に沿うように動かし容器の後ろから前にゆっくりと移動させます。この際全ての泡が取れなくても大丈夫です。

この時も、複数のコーヒーが混ざらないように1回ずつ水を溜めたグラスで洗い、ペーパーで余分な水分を落とします。

【カッピングの手順】4段階からコーヒーを評価する

余分な泡や粉を取り除いたら、いよいよテイスティングです。カッピングスプーンで毎回同じ量をすくい、ズッと吸い込みます。吸い込むことで液体が霧状になり、鼻から香りを感じやすくなります。舌で感じる味と合わせ、コーヒーをより全体的に捉えやすくなります。

テイスティングでは温度変化により異なるフレーバーを確認します。100℃のお湯を使用しているため、4分置いたとしても最初にできあがる液体はかなり熱いです。
熱いと味がわかりにくかったり、逆に温かいという要素で無条件に美味しいと感じることもあります。しかい、冷めてくるとネガティブな要素も感じられたり、またその逆も考えられるため、温度による液体の変化を捉えることは重要な要素です。

また、徐々に冷めてくるとフレーバーが変化したように感じられるのには、理由があります。実はこの時感じるフレーバーは元々抽出直後の液体が熱い段階でも出てきてはいるのですが、熱さでごまかされ、舌が感じられていないことがほとんどです。なので、冷めてくると異なるフレーバーが出てくるのではなく、温度変化により感じられなかったフレーバーが感じやすくなるのです。そのため、冷めてきたときにネガティブな要素が感じられた場合、それは熱いうちかた抽出されてしまっていることになるので、その抽出は適切ではない、といったように評価できるのです。

 

 

 

 

カッピングで適切にコーヒーのフレーバーを捉えるには?

カッピングでは様々な段階で香りや味を評価しますが、実際にフレーバーを捉えることはかなり難しいと感じられるかもしれません。
そもそもコーヒーを表現するのにどのようなフレーバーがあるのか、どんな味わいがどのフレーバーにあたるのかなどイメージしにくいかと思います。

このような場合はフレーバーホイールを用いて、自分で感じた味の印象と表現を擦り合わせる方法がおすすめです。

カッピングで適切にコーヒーのフレーバーを捉えるには?

フレーバーホイールとは、SCAA(アメリカのスペシャルティコーヒー協会)がコーヒーの風味を厳密に表現するために作成されたものです。
110項目に区別されていますが、最初からその一つを当てる必要はありません。
まずは自分の中でシンプルなイメージを捉えていくことが大切です。

例えば、酸味はよく色に例えられます。黄色っぽい酸味だとレモン、赤だとベリー、ピンクだと華やかなチェリー等があります。まずはどんな色のどんな印象のフレーバーなのか多い浮かべ、そこからフレーバーホイールで細分化していくと理解しやすくなります。

フレーバーを決定する際に、確実にその味がしなくてはならないわけではありません。

 

カッピングで適切にコーヒーのフレーバーを捉えるには?

例えば、私たちが今季リザーブとしてご提供しているエクアドルは「ライムスライスを乗せたようなアッサムティーの味わい」とされています。

ここ伝えたいことは、「このエクアドルのコーヒーはライムの味がする」というわけではなく、「ティーのような軽い華やかなテイストに、皮を削ったようなライムがほのかに香る」ということです。つまり、コーヒーは様々なフレーバーで表現されますが、あくまでそれは表現の一種であり、確実にそのフレーバーが含まれているとは限りません。
ただ、飲んだ時に味をイメージしやすいツールの一つとして使用されており、そのフレーバーにはそれぞれ方向性が存在します。カッピングでは検証するコーヒーを分かりやすく評価する為に、感じた味わいをその方向性に当てはめていきフレーバーを認識していくのです。

リザーブのエクアドルはこちらから

ECUADOR TERRAZAS DEL PISQUE

 

カッピングは決してプロだけのものではありません。コーヒーを好む方は誰でも簡単なツールを使用して、自宅で簡単にカッピングを行うことができます。今までとは少し違った方法でコーヒーと向き合うことで、自分の好みやフレーバーの違いを理解し、皆様がより一層コーヒーを楽しめますように。

各店舗ではコーヒーに精通したバリスタがあなたをお待ちしております。もしカッピングで不安なことがございましたら、ぜひ店頭へいらしてみてください。カッピングのみならず、おすすめのお豆や抽出方法など、あなたのコーヒーライフがより充実したものになるよう、私たちがお助けします。

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深浦バリスタ監修記事はこちらから

<参照記事>JHDCチャンピオン深浦哲也~What’s your VERVE?#4~

<参照記事>【保存版】ドリップコーヒーの淹れ方ガイド
<参照記事>【バリスタ直伝】アイスコーヒーの作り方

 

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